点尊降臨!

「ぼくが何者であるかは、お前が決めれ!」 なんか創る人をやってます。

放射線被曝による遺伝子への影響についての考察

もうハテナブログは使わないと思っていましたが、今回故あって利用することとなりました。今、noteでやっている「ぼくらワールド解体新書』はもともとハテナでほぼ文章のみで書こうと思っていたけど、文章を読むのがしんどいという友人がけっこういて、それじゃイラストが多い方がわかりやすいと考え…結果ハテナブログじゃなくnoteを選んだのでした。

 
さて、今回の記事は放射線被曝の遺伝子への影響について書きます。なので、事前に基礎となる知識を身につけてから読まないと誤解したり、訳がわからなかったりします。まずは『ぼくらワールド解体新書』を1から11まで順番に読んでから下記の記事をお読みください。
 
 
 
物事の捉え方視点の話を簡単に載せ、放射線被曝の遺伝子への影響を考える上で土台となる知識を大体書いてます。また、この後の記事内容は『ぼくらワールド解体新書』の内容を土台として積み上げたものです。そのため、ぼくの思考の流れ、視点を理解してもらう方が下記の記事の理解がある程度楽になると思います。
 
まず最初にぼくの思考を整理します。
1)リスクの捉え方
2)放射線被爆リスクの考え方
 
上記2点を整理した上で、
3)放射線被爆が遺伝子へ及ぼす影響の考察
4)現在の見解(結論)
 
 
今回は『ぼくらワールド解体新書』とは異なり、初心者向けから初級〜中級者向けの内容になるかと思います。文面が硬くなり読みにくい点について、ご容赦願います。
 

1)リスクの捉え方

リスクの捉え方については、おおまかに各要素を網羅した全体的なリスクとして捉えています。リスクとして個別要因が大きくなると、全体的なリスクがあがるという考え方です。当然自動車事故に遭う確率や飛行機事故に遭う確率、道を歩いていて上から物が落ちてきて怪我や死に至る確率を含めると複雑化するのですけど、この記事ではザックリとそういったリスクを除いて、健康面へのリスクで考えます。
つまり健康面での全体的なリスクをあげる要因のひとつとして、放射線被ばくがあるという考え方です。
 

2)放射線の被爆が及ぼすリスクの考え方

まず人体へ影響を及ぼす放射線の線量はSv(シーベルト)という単位で測ります。
1Sv=1000mSv(ミリシーベルト
1mSv=1000μSv(マイクロシーベルト
これは自然放射線であれ、人間が原発や原爆、その他医療で使う放射線であれ同じ単位で測ります。
この点で人口か天然かは関係ありません。
立ち上がったクマ(生物)の背の高さと同じように立ち上がったクマの銅像の背の高さはm(メートル)で測ります。
それと同じ。
人体への影響としては基本的にmSvを基準に考えて良いです。
 
放射線被爆のリスクの捉え方は、自然放射線であれ人口的に生まれた放射性同位体から発する放射線であれSvが高いほど人体への影響は大きくなります。
(そのため特に自然放射線量が高くなる宇宙では、放射線防護が必須になっています)
原発を含む原子力関係施設の放射性物質漏洩で問題となるのは、被爆量が不用意に増える点です。
状況にもよりますがこの2点の点で不用意に被爆量が増えます。
 
1.外に漏れた放射性物質の影響で、空間線量が上昇し体の外から受ける放射線量が増える。
2.土壌に放射性物質が付着することで、農作物が放射性物質を取り込み汚染する。
 
また、その漏れた物質とその量からどれくらいの放射線が発生するかがリスク問題に大きく関わってきます。
原子力施設の事故によって生まれた放射性物質からの放射線が高ければ高いほど、危険は高まります。
当然量が少なければ健康上気にしなくて良い場合もあります。つまりどんな放射性物質が漏れ、その量はどれくらいか、どれくらいで半減し無くなっていくのかが放射性物質が漏れた際、リスクを考える上で必須要素となります。
 
 
で示したように、その量によって人体への影響度合いは変わります。
放射線は単純に線(実際には波になっていますけど)で、特にガンマ線中性子線は人体を通過します。放射線被爆の解説は『放射線被爆の理科・社会』や『放射線生物学』などに詳しく載っています。ザックリ述べると、人体に入った放射線が細胞内のDNAを破壊します。
細胞やそのDNAを破壊するものとして、放射線のみならず、アルコールやタバコ、日々食べている野菜(無農薬も当然含む)も私たちの体を壊す要素(アルカロイド)を含んでいます。
 
総合的なリスクとして、ザックリと量で見る視点が必要です。その上で個別要因を考えリスクリダクション(危険を減らす)必要があります。
放射性物質漏洩事故での影響で考えるなら、体の外からの被爆量と体内へ摂取した被爆量をトータルでまず捉え、その上で内部被爆が及ぼす影響を考えます。
例えば放射性ヨウ素は喉のあたりにある甲状腺にたまりやすく、放射性セシウムは筋肉、放射性ストロンチウムは骨などにたまりやすいです。
ヨウ素について半減期は 日と短く、その間飲料水などに溶け込んだヨウ素をさければ内部被爆を抑えることができます。セシウムストロンチウムにしても同様で汚染された食物を避ければ回避できます。
日本の食文化では魚介類の摂取が多いので、もともと甲状腺ヨウ素が多く、放射性ヨウ素の影響を受けにくいなど生理学的な反応があり、一概にこうだ!と決めつけることは簡単にはできません。
放射性セシウムや放射性ストロンチウムにしても、過去の大気圏内核実験の影響で拡散されています。少量摂取したところで、健康への害はありません。
なぜなら、私たちは日頃から放射性物質を含んだ元素を必須栄養素として摂取しているからです。例えば、カリウムセレンです。どちらにも放射性同位体が少量含まれています。
放射性セシウムストロンチウムを含め、人体に悪影響を及ぼす量を摂取しないなら、気にする必要がありません。
つまり、すべては量をどれくらい摂取するかが問題となります。私たちの体は日々摂取する食物から得る材料を使って、体を修復しています。この修復できる量を超えるほどダメージを受けると危険であることを理解しましょう。
 
(※まずここまで読んで、まだ『ぼくらワールド解体新書 』を1〜11まで読んでいなければ、必ず順番通り読んでだ上で下記内容へ進んでください。)
 
 

3)放射線被爆が遺伝子へ及ぼす影響の考察

では次に放射線被曝の遺伝子への影響について、ぼくが理解していることを述べていきます。基となる資料は
放射線必須データ32 被ばく影響の根拠』田中司朗、角山雄一、中島裕夫、坂東昌子 創元社 2016
ここから幾つか内容を拾い要約したものを載せます。グラフなどは『放射線必須データ32』の本文記載のものを各自参照してください。
ぼく自身の意見や理解は【ぼくの理解】で分けて載せています。
 
ここからはSv以外にGy(グレイ)という単位がでてきます。Gyは放射線のエネルギーがどれだけ物質に吸収されたかを測る単位です。だいたい1Gy=1Svとなります。(条件によっては1Gy=800mSvなどに変わるけど、ザックリでいきます。)
詳しい内容につきましては『放射線必須データ32 被ばく影響の根拠』を購入または図書館で借りるなどして確認ください。
 
◆データ1:黄色ショウジョウバエへのX線照射実験(1926年)
最初に、中学か高校かで習う黄色ショウジョウバエX線を25Gy照射し、遺伝子に突然変異が発生、25Gy被曝した孫の世代に雄が生まれなくなることがわかりました。
黄色ショウジョウバエと人間などの哺乳類では単純比較は難しいものの、放射線の線量によっては遺伝子が突然変異をおこすことを証明したものです。
 
 
◆データ2:米国オークリッジ研究所のラッセルらによる『メガマウスプロジェクト』「低線量率と高線量率での突然変異発生率」
メガマウスプロジェクト』700万匹にも及ぶマウスをつかった被曝実験。
1950年代に始まり1960年ごろに結果が論文で発表され。1982年にそれまでの結果をまとめて発表しています。
 
「低線量率と高線量率での突然変異発生率」
マウスの精子をつくる精原細胞へX線ガンマ線を照射し、あらかじめ指標とした7つの遺伝子座にどれくらいの突然変異が発生するかを研究したものです。
この実験ではトータルで同じ放射線量を浴びても、長期間で浴びるのと短期間で浴びるのとでは影響の度合いが変わることを発見しました。
短期間で高線量の放射線を浴びる方が低線量で長期間浴びるよりも影響が大きくなります。
 
【ぼくの理解】
この実験結果から、人体の生理学的反応によって修復が行われるため、長期的に低線量を被曝する方が遺伝子が突然変異する割合が下がる。
 
 
◆データ8:放射線によって誘発される奇形と流産の発生頻度
マウスをを使って実験された研究です。妊娠時期によって放射線に対する感受性がどのように変わるかを調べたもの。発情期の雌の繁殖と発育が良好な実験用マウスを用いて、雄と交配させ受精後6時間(着床前の受精卵)もしくは9.5日のマウス(器官形成期の最中)にそれぞれX線を照射。受精後19日(出産前)に胎内を観察し死亡と奇形の発生頻度を調べています。
 
 
【受精後6時間、着床前受精卵にX線を照射した結果】
高い頻度で胚死亡が発生。約500mGy(=500mSV相当)で受精卵の半分が死ぬ結果となりました。
受精卵が死ぬと当然ですが、子は生まれてはきません。
着床し胎児となり、無事に生まれた後も奇形は発生が顕著に増えることはありませんでした。
着床前の卵子への被ばく→無事に着床した場合、着床後に器官形成に入るため奇形の発生頻度が有意差を持って上昇しないと考えられます。
 
【受精後9.5日ごのマウスにX線を照射した結果】
1Gy(=1Sv相当)までは奇形発生:無
その後線量が増えるごとに奇形発生率が格段に上がる。1.5Gyで7割ほどの奇形が見られています。
また1.5Gy以上被ばくしたあたりから、死亡頻度も増加。2Gyを超えると、死亡頻度が急増した結果となっています。
 
【人間にこの実験結果を当てはめると】
受精後0〜8日(着床前)の被ばくでは胎児への影響の心配はないと考えられます。ただし、受精後9〜60日の間(器官形成期)では奇形発生の危険性が考えられます。ただし、ICRP1990勧告では被ばく線量が閾値と考えられる100mGy以下であればそれを中絶の理由としてはならないとしています。
 
【ぼくの理解】
卵子精子に記録されている遺伝情報に異常があり、なおかつそれが引き継がれれば遺伝的影響が子孫に残る可能性が考えられます。受精卵が着床するまでの0〜8日間の間に1Gyを超える被ばくを受けるケースは、幸いに今の所ありません。また東京電力福島第一原子力発電所の事故でも発生していません。
この実験からも、低線量被ばくでは子孫への影響は考えられないと理解しています。
 
 
◆データ9:DNA損傷を感知する細胞内メカニズム
放射線によりDNAが切断され細胞の部位が、細胞に備わっている仕組みによって損傷を探知し、DNAを修復することがわかった実験。実験には人(ヒト)の培養細胞を使っている。
 
放射線がDNAに当たると、DNAの2本鎖を2本とも切断します。DNAには修復機能があり、たとえ2本鎖が2本とも切断されても、修復することができます。ただし、2本とも切れると修復がうまくいかないことがあります。
DNAの2本鎖が切れる要因は放射線以外にもあり、ある種の薬剤や毒素(つまりアルカロイドの中に2本とも切断するものがある)、酸化ストレス、正常な細胞活動であるDNA複製によっても発生します。
 
DNAが正常に修復されない=細胞のガン化や他の病気の原因となるわけではありません。免疫が働き異常がある細胞を排除、正常細胞へと入れ替えていきます。
 
 
 
◆データ21:広島・長崎で原爆被ばくした胎児とその母の染色体異常
胎児は成人に比べて非常に放射線感受性が高いとされている。広島・長崎で原爆被爆した胎児とその母親の被爆線量と末梢リンパ球の染色体異常発生率との関係を調べた疫学調査
 
調査結果は母親の染色体異常は被爆線量に応じて増加しているが、胎内被爆児は高線量でも染色体異常率は増加していないことがわかった調査。
同じ研究グループによりマウスを用いた動物実験が行われている。この動物実験でも母親マウスにはリンパ球細胞に多数の転座型染色体異常が発見されたが、子マウスには異常がほとんど観察されなかった。しかし母マウスには見られなかった造血幹細胞の染色体異常が一部の子マウスに見られた。
 
【ぼくの理解】
このことから胎内被爆や被曝による低頻度のガン発生の可能性は否定できません。ただし胎内被ばくを受けたとしても、異常細胞を淘汰する胎内のシステムが働き、胎内被ばくがガン発生の決定的な要因になることは考えにくいです。
 
 
 
◆データ21:広島・長崎原爆被ばくの遺伝影響 ー遺伝子突然変異率ー』
原子爆弾によって1.56Gyの放射線を両親もしくは片親が被ばくした子供66人と両親とも被ばくしていない子供63人の、DNAの中のマイクロサテライトと呼ばれる部分の突然変異を検出。被ばくした親から引き継いだマイクロサテライトの変異率と被ばくしていない親から引き継いだマイクロサテライトでの変異率の差があるかを調べたもの。
調査結果は、変異率に差が無く、親の被ばくによる経世代的影響は見られなかった。
 
 

4)現在の見解(結論)

低線量被ばく、たとえば2μSv/hや年間被ばく量20mSv程度の被ばくを長年続けていても、遺伝的な影響が次世代にでる可能性は限りなく0に近いと結論となりました。つまり自然放射線に、原子力関連施設や核実験によって追加された放射性物質が放つ放射線が増えたとしても、低線量であればリスクは低いということです。そもそも8日間ていどで1Sv被ばくする環境が日常にはありません。
 
現在の福島県に関して言えば、心配するレベルではないので、普通です。そこに健康被害が起こるという人は全く勉強していない人か、本当は無関心で関心があるように装い他人と関わりたいだけなど、おそらくリスクを叫ぶのとは別に目的があると考えられます。
 
放射線被ばくの問題はDNAの2本鎖を2本とも切断することです。ただし、2本とも切断するのは放射線だけじゃなく、ストレス、タバコ、アルコールなど多岐にわたります。そういったリスク要因の中のひとつとして放射線があります。ストレスやタバコなどもDNAに突然変異を起こす原因になるわけです。
 
また変異を起こした細胞や死んだ細胞や体の免疫が働き排除します。そして不足した細胞を我々の体は日々の食事などから得る材料を使って新しく増やしているわけです。つまり修復しているわけです。
そのためトータルで高線量を被ばくするとしても、短期間か長期間かでその影響が変わってくるわけです。それを示したのが『データ2:米国オークリッジ研究所のラッセルらによる『メガマウスプロジェクト』「低線量率と高線量率での突然変異発生率」』と『データ8:放射線によって誘発される奇形と流産の発生頻度』なわけです。
当然、人間にもまるまるではないにしても、当てはまるわけです。
 
東京電力福島第一原子力発電所の事故から3年後には人がバタバタと死ぬ、5年後には死ぬとのたまう発信した人たちがいます。2016年の7月には東京は人が住めないと述べた本を出版した人だっています。今それが実現しているかっていうと、全く実現していないし、今後も彼らが述べた原因(2011年の東電福島原発事故)によって、東京で人が住めなくなることは起こらないでしょう。当然福島県にだって普通に住めますし、住んでいるわけです。
つまり、福島県で発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射性物質漏洩での追加被ばくでは、まず遺伝的影響が起こるとは考えられません。
 
中には人工放射性物質による追加被ばくで、数万年かけて遺伝的影響がみられるかもしれないとの意見がありますが、数万年単位となると放射線以外の要素が多くなり、人類に大きな変化があったとしてもそれが被ばく影響が起因となるかどうかはわからなくなると考えます。加えて、そこまで大きな線量の被ばくは現状では一般的なものではなく、特に現状の福島県の線量や、福島県産の農作物や海産物についても、遺伝的影響を与えるような量の放射性物質は検出されていません。
また放射性セシウム100bq/Kgを問題視する人がいますが、この基準は放射性セシウム100bq/Kgあるとストロンチウムはこの割合あるだろう・・・などとベータ線のみ発する放射性物質からの影響を考えて設定されています。国際的にも厳しい基準です。そもそも100bq/Kgの食品は流通していません。
放射性セシウム20bq/Kgが問題とおっしゃる人もいますが、その人はおそらくヨーロッパへはいけません。基準値を問題にするなら、基準値が日本より高い食品が流通している国には行けないと思うからです。
(※bq=1秒間に放射線を出す放射性物質の個数を表す単位)
 
これが現在のぼくの理解と見解です。
これに反対される方もいらっしゃると思いますが、その時は「分かり合えないことをわかりあう」しかないと考えております。
 
【追記】
タバコには放射性ラジウムや鉛、ポロニウムが含まれており、喫煙者は自らニコチンやタールなど毒性のあるアルカロイド放射性物質を摂取しています。喫煙によって遺伝子も破壊されます。タバコでガンが発生しやすくなるのは、遺伝子を破壊し細胞のガン化を促すからです。
ガンは遺伝子が壊れた細胞が細胞分裂を起こした場合にも起こります。(ウイルス性のものもあります)ガンリスクをあげるものはいくつもありますが、タバコの害は毎日1箱(20本)の喫煙で肺のDNAで平均150個の突然変異を起こします。(情報元:jiji.com「喫煙で遺伝子変異150個=肺がんリスク上昇、5千人分析」 http://www.jiji.com/jc/article?k=2016110400040&g=soc 2016年11月7日
元論文:「Mutational signatures associated with tobacco smoking in human cancer」
 
タバコをスパスパ吸っている方が、一桁μSv/hの被ばくよりも断然健康リスクが高いというのがぼくの意見です。喫煙者であっても、普通に長生きする人もいます。そこから考えたって、福島県が危険、福島県産品が危険とは一切言えません。福島県は大きな原発の事故はありましたが、幸運にも普通ですが結論となります。よって反原発を掲げ、福島県が危険、福島県産品が危険といったデタラメを流すのは、単なる差別にすぎないと考えます。
 
 
 
【主な参考文献】
放射線生物学オーム社 2011