点尊降臨!

「ぼくが何者であるかは、お前が決めれ!」 なんか創る人をやってます。

書評「海辺のカフカ」

初めて村上春樹の小説を最初から最後まで読みきりました。
これまで『ねじまき鳥クロニクル』とあと、忘れたけどもう一冊挑戦したのですが途中で挫折。
今回Common Bar SINGLESに『海辺のカフカ』の文庫本が放置されていて、処分するとのことだったのでもらってきて読み始めました。
最初、誤って下巻から読み始めるハプニングがありましたが、途中から上巻に戻り上巻の最初から読み、無事に読み終えました。

物語は15歳の少年「田村カフカ」が東京から四国へ向かうところから始まります。内容はつまるところ「田村カフカ」そしてナカタ老人とその道連れの星野さんの自分探しの旅です。
「田村カフカ」は自分を失わないという名目で家を出、ナカタ老人は”はじまりの石”を探す為に東京都中野区を出ます。二人の旅路は直接交わることはありませんが、二人の旅路はある登場人物を通して交わることになります。
この物語でぼくが一番惹かれたのはナカタ老人の旅路でした。このナカタさんが居なければ、ぼくはこの小説を読みきることは到底できなかったと思います。それほどナカタさんの旅路は、そしてナカタさん自身がぼくにとって魅力的でした。
下巻の最初にナカタさんが出てくるのですが、ぼくはそこでうまい具合にナカタさんに興味を持ちました。もしかすると下巻から読んでいなかったら、また挫折していたかもしれないな〜と思います。

作家の小川国夫先生が小説を読むことを主人公と旅をすることという風に述べていましたが、この『海辺のカフカ」はまさにそんな小説でした。
ぼくはナカタさんに引き連れられて旅をしたように思います。そしてそのおかげで「カフカ」少年の青い旅路にもなんとかついて行くことができたのだと思います。