点尊降臨!

「ぼくが何者であるかは、お前が決めれ!」 なんか創る人をやってます。

オリゴ党『ブキミの谷』

というわけで9月の29日にオリゴ党のお芝居を観て来た。
オリゴ党の作品を観るのはこれで二つ目。

前回は正直あんまりよくわからんかったことは以前書いた。

まずは今回のあらすじ

”舞台は取り壊し予定の図書館
図書館では今は亡き所有者である博士によってロボットと人間が混ざって働いている。
博士の死後経営が立ち行かなくなった図書館は売却され取り壊されることになる。
財産の整理のため銀行から管財人が二人、派遣されてくる。
図書目録を作り、本の売却整理を行なう中でいくつかの価値ある書物が勝手に売られたことが判明する。
図書館の職員の中に犯人はいる・・・
その犯人はだれなのだろうか?
その顛末は ロボットと人間とは? 存在とは? ”

そんな問いを観客に与えてくれるお話です。

先にも書いたけれどオリゴ党観劇二作目。
今回の作品を観てやっと気がついたことがある。それはオリゴ党の芝居はゆっくりなリズムなんだ。テンポ遅めの芝居なんだって。
じっくり描くというのがしっくりくる表現なのかもしれない。
開演前のケータイ電話の電源を切ってのお願いもカチカチだったところも考えると劇作家の方はかなり真面目なんだろうなと思った。

お芝居はなんだかんだシリアスだから(子供鉅人の『幕末スープレックス』とはここもちょっと対照的かな。あれはこういうシリアスさじゃなかった)笑いのパートがかなり重要で、やっぱりそこの落差がないと中々難しい話だったと思う。
その点では今回は成功していたと思うな。

管財人のイトウ氏と図書館の派遣事務員のやりとり、そしてギックリ腰で入院をしていたにもかかわらずそれを押して病院から抜け出し図書館員を演じた役者さんのあの体を張った笑いのパートがホントに好きだった。
あれがあったからテーマがすんなりこっちに入ってきたような気がした。

人を笑わせるのは難しい。そして感動させるのも難しい。
感動モノってさ、ぼくはだいたい某かの笑いが含まれていて、そして最後はドバーと涙、涙なイメージがある。
なんで笑いが重要なのか? というと笑いがあるからこそその作品を鑑賞する人たちに物語の登場人物の体温を感じさせることになるからだと思う。
体温を感じるってことは生きているってことだから、観客にとってその登場人物や出来事が「現実化」するってことだと思うんだ。
前回の作品は「夢」だったから幻のように消える感が強かった。
でも今回の『ブキミの谷』は体温があって良かった。
ぼくは体温を感じられる芝居の方が好きなんだと思った。